私の職歴⑦ ~カンボジアでの改革~

カンボジアに住んで仕事をして、1か月が過ぎ、
生活にも少しは慣れ、仕事の流れも分かってきました。

クレームだらけのカンボジアの会社。
私の職務は、クレームをなくし、さらに来客を増やす。そしてガイドの教育。
三浦社長からは、思うようにやっていいと承諾を得ました。

3つのルール


まずはルール作り。
当たり前のルールで、簡単そうに思えますが、これが難しい。

1.遅刻はしない。
・ガイド、ドバイバーは到着便の30分前までに会社へ来て、
 お客様のミーティングボードも持って空港へ。

・出発の10分前にホテルで待機。

2.オプショナルツアーは会社を通す。
・行程を勝手に変更し、コミッション稼ぎはダメです。
 会社を通したら、それよりも多く稼げて、クレームはでません。 

3.トラブルがあったら報告。
・すぐに報告してください。私が会いに行き、火消し役になります。

この3つをルールを作り、スタッフに説明しました。

文化の違いがもちろんあります。
それは日本人が正しいというのではなく、日本人を相手にして仕事をするにあたり、
知っておかなければなりません。

押し付けないように、穏やかに、怒らずに、喧嘩をせずに、楽しく。
私があまり前にでないよう意識してました。


3つのルールとともに、自分の役割を決めました。

・日本にはクレームを持ち帰らさない。
お客様全てに、カンボジアでの注意事項の案内を作り、
私が空港に張り付いて、お客様へご挨拶。

・日本への情報発信。
新しいホテル、レストラン、カンボジア情報などどんな細かいことでも
発信することにより、カンボジアを広く知ってもらう。

・お客様へのサービス。
暑い中、遺跡を歩き、日中40℃を超える時には、遺跡での温度は、50℃を超える時も。
観光のパターンは、午後アンコールワットへ行き、プノンバケンで夕日鑑賞。
そのままレストランで夕食なので、汗だくのままです。
こんな時、冷たいおしぼりがあれば、どれだけ嬉しいか。

三浦社長に相談し、即「OK!」
カンボジアスタッフに話し、それはいい考えだ。協力すると約束。

すぐに実行しました。
オールド市場でおしぼりに似たタオルを300本、クーラーボックスを10個購入。
冷蔵庫は会社にあったので、タオルを水に付け、1本1本巻いて、冷凍庫・冷蔵庫へ。
おしぼりを洗う洗濯機を購入しようと思ったら、みんなから止められました。
誰も洗濯機を知らなかったのです。
毎日の事で、手洗いはすごい労力なので、洗濯機を購入しました。

念願の引っ越し


家もオフィスとドア1枚で、プライバシーがなく、引っ越すことにしました。
もちろん不動産業、アパートなどなく、
大きくて、住みやすそうな家に直接行って、空き部屋ありませんか?と、交渉するだけ。

いろいろ見に行きました。
小奇麗で、大きさもちょうどよい家がありました。
家賃1ヶ月:USD200-。
通貨はカンボジア・リエルがありますが、使うのは少額で、米ドルが流通してます。

2階部分で、気に入り、ここで決めよう。
帰り際、窓を開けてみると、1階部分にはワニの群れ。
横の家の塀との狭いスペースで、200匹以上はいました。

カンボジアでは、一般の家でもワニを育てており、
餌を与えるだけで、手間がかからず、大きくなったら高値で売れます。
寝ぼけて落ちたら終わり。
さすがにやめました。

違うところで、日本のワンルーム位(約20㎡)で、狭いですが、
小奇麗で、居心地が良さそう。
なにより大家さんの家族がいい人なので、契約しました。
1ヶ月:USD150-ドル。電気代別。

そこの家主の住み込みのメイドさんに、洗濯、掃除等、1ヶ月:USD30-でお願いしました。
20歳の独身の素直で可愛い娘さん。
田舎から働きに来て、(シェムリアップも田舎ですが)
メイドをやって現金を稼ぎ、何か月に一回、田舎へ持ち帰ります。

○写真は自宅。
私の趣味ではありません!全て家主さんの趣味。
家主:パパ・ママ・息子。他には、ちびまるこにでてくる、そっくりのおじいちゃん

事件勃発


なるべく私が前に出ず、怒らず、押し付けないように、穏やかに、喧嘩をせずに、楽しく。
が、かなりストレスになってました。
それをすることによって、舐められるのです。
まだカンボジアに来て、一回も怒ったことがありませんでした。

そんなある日、事件が起こります。
前に紹介した、何かあったら相談し従えと、日本の本社の社長から言われていた
優秀なカンボジアナンバー1ベテランガイド社員。

かなり遅刻が目立っていました。
もちろん誰も何も言いません。
他のガイド、ドバイバーも真似をする。
その人がメチャクチャにしているのは、誰がみても分かりました。

いつものように遅刻。飛行機は到着している。
私が、代わりにガイドをすると、会社を出たとき、
彼が何食わぬ態度で堂々ときました。
「○○さん、遅刻ですよ。到着30分前に来てください」
と、やさしく、穏やかに言いました。
無視。

もう一度、やさしく「聞こえてる?」
無視。

もう一度、やさしく「聞こえてないのかな~?」
すると、私を睨み付けて、唾を吐きました。
「ブチーン!!」と、はっきり何かが切れる音が聞こえました。
ずっと我慢していたのが、爆発してしまいました。

カンボジア人に感情むき出しで、怒るのはご法度。
しかも最高にプライドが高い。

泣いて「お前は絶対許さない」。
スタッフ全員が見に来ていて、
それから態度が明らかに変わりました。
そのナンバー1ガイドは、その時限りで退職。

その事件以来、訴えられ、新聞に載り、脅迫され続ける始まりでした。