50歳の決意

■50歳を迎えて■


9月25日で50歳になりました。
想像する50歳のイメージとは、かけ離れています。
以前から「きっといつかは」を頼りに頑張ろうとやってきました。

40代なかば位から、「きっといつかは」は、やってこないのに気づきました。
バラ色のいつかは幻想で、今を生きるしかない。
今が幸せと感じなければ、一生幸せに気付かない。

先が見えて、人生は思っている程長くなく、
自分の力の限界が分かる時期だと思います。

■時代の流れ■


ここ数年、旅行業の在り方が加速して激変してます。
クルーズ以外にも一般の旅行も取り扱いしてますが、
国内旅行では、社内旅行がメインです。

この仕事に携わって約29年。
その時からのお客さんは、殆どが国内団体旅行。
人の結びつきで、信頼しあい決めていたのが、今ではそうもいきません。
ここ数年、数社相見積もりをとり、アンケートを取って決めるようになりました。

会社では、以前は若い方が発言するのは容易ではありませんでしたが、今の時代は違います。
なぜ休日に手当も出ない旅行に参加しなければならないのかと、はっきり言ってきます。
以前から思っていても言えなかった。
何か言おうものなら、パワハラを盾にするので、若い社員に気を遣うそうです。

例えば、相見積もりなら、3社から各3~5コース。
9~15の宿泊箇所を約2週間仮押さえします。
その間、宿泊箇所は予約が取れなく、問合せがきてもお断りすることになります。
ローシーズンの平日であれば、問題ないと思いますが、
ハイシーズンの週末では、いい旅館はすぐにおさえられてます。
取引があるバス会社も満車です。

50軒以上、旅館、バス会社に問合せ、
今まで(約20年以上)行ったところにデータを調べ、
やっと空きがあるところで仮押さえ、そしてコース作成。
長年お付き合いのお客様は、既存のコースは既に行ってますので、
時間、観光地、昼食場所、全てを一から調べてコースを作成。
いくら慣れているとはいえ大変な作業で、1週間その作業で時間をとられます。

相見積もりなので、他社を含めて合計15コース以上。
15からの相見積もり、それもきつい日を2週間仮押さえしてください。
そんなことを旅館に言えないです。
団体旅行を受け入れる旅館はどんどん潰れ、個人相手の格安旅館が流行ります。

その相見積もり競争に参加して、決まるコースは1つです。
旅行業の利益は売り上げの1割。薄利です。
そもそも国内団体旅行に値段の大差はありません。
値段だけの相見積もり、安売り合戦に参加していては存在価値が問われます。

ただ、以前からお世話になっているお客様から、見積依頼があれば、
無下にお断りすることができません。
どういう風にいえば、相手の気分を害することなくというのが課題です。

時代は変わって行きます。
歴史をみたら、世の中は全てに良い方向に変わっていきます。
より合理的に、みんなの意見を尊重する。
要らないものは淘汰される。

予約は安いネットで。旅行会社は無料観光案内所的な役割に。
この人の為ならの浪花節は通用しない時代になっています。

■転機■


そんな時代の流れとは逆行しますが、
私はこの人の為ならを貫きたい。

数年前、このブログを見て連絡をいただいたお客様。
その時、クルーズをお申込みいただき、
昨年には大阪へお越しいただきました。

今回、リバークルーズをお申込みいただき、
この旅行が何の心配もなく、より楽しくなるように説明をするべく、
その方に会いに小田原へ行きました。

食事をご馳走になり、夜遅くまでいろんなお話をしていただきました。
すぐ近くに、大手旅行会社のクルーズデスクまであるのに、
遠く離れた大阪の私に手配していただく。こんな嬉しいことはありません。

小田原に1泊。今回の目的は、その方に会いに行ったのですが、
東京まで1時間かからないので、約1年半ぶりに東京に行きました。

今、クルーズをお申込みいただいてるのは、6割以上が首都圏です。
ご挨拶にお伺いしたいのですが、クルーズは個人旅行。
ご自宅までは、相当仲がよくならないと、なかなか行くことができません。

前回、東京に行った時、たまたま入った理髪店。
市ヶ谷駅徒歩3分のサイトウヘアーサロン。
40年以上経営されています。

初めて出会ったのに、昔から知り合いのように接していただいて、
いろいろと教えていただきました。
東京にオフィスを構えるなら、方角はこちらが良い。こちらはダメ。
東京は人口が多いから、大阪より楽にできる。
(マスターの謙遜でそんなことありません)

今回どうしても会いたくて、お伺いしました。
1年半前に1回だけ行ったのに、名前、クルーズをやっている事、
全てを覚えていただいてました。

散髪をしながら、今回もいろんなお話をしていただきました。
50歳の誕生日にお伺いして、正直に今の思いを打ち明け、
「きっといつかは」を頼りに頑張ろうとやってきたけど、
先が見えて自分の力の限界が分かったこと。
目標はあるけど夢がない。

するとマスターは、
50~60歳が一番面白い。
20代からコツコツ種まきをしていたのが、50からは収穫の時期。
貴方だったら、しっかりと種まきしているので収穫できる。
大丈夫!!と肩を叩かれました。

話をしている時、常連さんが横の席に。
〇〇さんは、クルーズが好きで先週までクルーズで旅をしていた方と紹介され、
聞いてみると、「ザ・ワールド」で世界最北端ゴルフ場のグリーンランドでプレイしてきた。

「ザ・ワールド」といえば、通常のクルーズではなく、
分譲マンションのように販売され、自宅感覚で居住、自由に乗降できる。
厳しい身元審査、購入は資産10億円以上といわれてます。
どこを航海しているのかは非公開。

もちろん私はそんな方にお会いしたことがありません。
そんな普通の人が、横で普通に散髪し、私と同じ金額を支払っている。

マスターは、ここにはこんな方がたくさん来るのでこれから紹介していくよ。
全てが桁違い。想像を超えます。
日本は、お金、人、全て集まって東京に集中してます。

マスターから、ありがたいお言葉をいただき東京に2泊。
あるクルーズの日本総代理店が、
大阪の弊社に来社する連絡があったので、私の方からお伺いしました。

その方は、10月でクルーズ事業を止めると事。
薄利な上、これだけ競合が増えたらやる価値はなくなったとの理由です。

ただその方は凄いのは、このクルーズで培った人脈を生かし、
また全く違う業界で既に起動している事。
誠実な方で、人を大事にします。
お金は大事な手段。
その前に人を大事にすれば、道は開ける。
その方は、今から新たなスタート。輝いて見えました。
これからは違う業種になりますが、これからも協力、応援したい人です。

私は以前から、旅行業をやりながら、流れでチャンスがあれば、
他業種でもやりたいと思ってました。
それがなかなかチャンスを見出せません。
日々追われて、アップアップの状態では、目の前にあるチャンスを見逃している。
自ら目を瞑っていたのだと思います。

そしてマスターの今までの種まきの話が頭から離れませんでした。

クルーズをやり始めて10年。
それまでの一般旅行のお客様を疎遠にしてきたのでは。
そのお客様と再びつながることはないか。
クルーズをやるまでの20年間の種まきを自ら潰しているのでは。
それまで周りの方にアドバイスをされていたことに気づきました。
目を瞑り、耳を塞いでいたのです。

その夜に、このブログでもよく出てくるお客さん(家族)にお会いし、
今の考え、方向性をお話しました。

絶対した方がいい。
そうなれば全力で応援するよ!!

点と線が繋がり確信しました。
目の前がパッと、明るくなり世界が広がりました。

もちろんこの旅行業・クルーズを今まで以上に力を入れます。
それと同時に全く違う業種を0から勉強。
東京から戻ったその日から動きました。
こんなワクワクした気持ちはいつ以来だろう。

旅をすることによって、大きな発見があります。
50になったことに、自分の限界で気が沈んでいたのが、
今見えるのは、空が青くどこまでも高く感じます。