アンコール遺跡

私の職歴⑪ ~海外の日本人~ 

ベトナムに足は向けません。


私がカンボジアに来る前から、ベトナム駐在の日本人が出資し、
シェムリアップでカラオケ屋を立ち上げる計画をたててました。

経営者は、カナダ人のニック。
メンサのメンバーで、ベトナム・ホーチミンの有名バー、Apocalypse Nowで大成功し、
プノンペンでも、Heart of Darknessでも大成功。
その人が、シェムリアップに夜の社交場・大人のカラオケ店を立ち上げる。

※メンサ…人口上位2%の知能指数 (IQ) を有する者の交流を主たる目的とした非営利団体。

出資したベトナム駐在の日本人は、同業者のランドオペレーター。
その頃、日本人の訪越数は、カンボジアの約5倍。
1995年の関西ーホーチミン直行便就航により、ブームに火が付きました。

その中心なのが、同グループのベトナム社の社長。
ブームになる前から、これからはベトナムだと、合資で会社を立ち上げ、
日系の会社では取扱数、取扱数、断トツ№1。
その頃のベトナム社は、社員100人。
旅行以外にも、超有名レストランのオーナー、
誰もが手にするフリーペーパー、
その他にもいろいろビジネスを成功させている方です。
その方には、本当に面倒を見てもらい、お世話になりました。

私がシェムリアップに来て1日目。
その方も、シェムリアップに会い来ていただきました。
仕事のやり方、コツをアドバイスしていただきました。

最後にお願いしたいことがあると、
これから立ち上げるニックの店を応援していただけませんか。

シェムリアップ初日だったので、訳も分かりませんでした。

それからカンボジアではいろいろと衝突ありましたが、
いつもその方が私の味方をしていただき、支えていただきました。

日本でのマネージャー会議でも、(カンボジアは、三浦社長が出席)
例のベテランスタッフを解雇し、いろいろ揉めてた時の会議。

カンボジアでは命がけなのですよ。
ベトナムはナイフだが、カンボジアでは銃ですよ。
あなたはカンボジアでできますか。
人伝いに効きました。
日本(本社)には足を向けても、ベトナムには足を向けない。

今では、日本を含む全グループの会長。

その方とニックが昔からの友人で、
シェムリアップでのカラオケ店オープンになりました。
ニックはその方を「ラストサムライ」だと言ってます。
私より4歳上で、その頃34歳。
実際、凄い人です。

その方以外にも、ベトナムにいる日本人は、バイタリティがあり、
人間的に魅力がある人が多い。
今でもありがたく交友があります。

カンボジアに住む日本人は、3種類に分かれます。
・遊びの延長
・チャンスを求めて
・NGO関係

男性より、女性の方がはまる傾向があり、
カンボジアに来て、バイクタクシーの運転手と恋に落ちるのが圧倒的に多い。
そして、移り住み、子供が生まれる。
カンボジア男性の優しさがいいらしい。

大人の社交場 バイヨン・ムーン


ニックは、日本語ペラペラで、すぐに意気投合。
ニックの店の立ち上げも毎日のように行くようになり、
オープンに向け準備を手伝いました。

店名は何種類か候補がありましたが、最終的に「バイヨン・ムーン」に決定。
バイヨン遺跡:宇宙の中心
200以上ある遺跡で、最も有名なのが、アンコールワット。
次いで有名なのがバイヨンです。

ちなみに、私が一番好きな遺跡は、「東メボン」です。
ここは人が少なく、他の遺跡みたいに人で混み合うことはありません。
休みの日に、夕陽を見に行ったことがあります。
(1回のみですが)
私は、遺跡にはあまり興味がありません。

バイヨン・ムーンをオープン。
他社オペレーターにも営業にまわりました。
我社のお客さんは、バイヨンムーン指定。
コミッションも他店より増額。
強制することはできませんので、私個人からのお願い。

これには、空港張り付き営業もできません。
あくまでガイドに任せるしかありません。

9.11 アメリカ同時多発テロ


2011年9月11日の夜、仕事中、三浦社長からの電話。
「大変です!アメリカの大きなビルに飛行機が突っ込んだ!」
三浦社長は日本語堪能ですが、時々何を言っているのか分からなく、
突拍子もないことを言うこともあります。

バイヨンムーンにCNNを見に行こう。
テレビの前には、お店の女の子たち10名以上が、食い入るようにテレビを見てます。
ニュースを見ているのかと思ったら、
中国のふた昔前の三流ドラマ。
女の人が空を飛び、口から糸を吐いて人をぐるぐる巻きにしたり、
口から火を噴いたりと、なぜかいつもみんなそればかり見てました。

世界が大変なことになっていると、
チャンネルを変えたら、大ブーイング。
テレビには、ワールドトレードセンターに旅客機が2機も突っ込み、目を疑う光景。
映画の特撮でなく、本当の映像だとすれば、いや信じられない。

大ブーイングで、すぐにチャンネルを変えられました。
女の子たちは、世界が終わるかもしれない大事件よりも、
口から糸を吹く中国の三流ドラマに興味がありました。

一夜明け、グループ会社、各国から状況をレポート。
・タイ:首相が声明を発表。テロには断じて屈しない…
・ベトナム:市民は驚きを隠せず…
 ミャンマー、上海、インドネシアの状況
・カンボジア:いつもと何も変わらない暑い朝を迎えております。
電気が通ってないので、誰もテレビは持ってないので、誰も知りません。
会社の外を見ましたら、いつもの光景で、
裸の人がたくさん歩き、鼻くそをほじくっている人がいます。
あれだけ指を深く入れて痛くないのか心配です。

カンボジアだけ、レポートから外されてました。

アメリカ人を含めて、翌日からも、通常通りに何も影響はありませんでしたが、
日本人だけ、約3か月、キャンセルが相次ぎ、殆ど仕事がありませんでした。
キャンセルが多数あったのは日本人だけ。