私の職歴⑩ ~新たな挑戦~

日本の美徳は海外では通じない?


今まで、クレームばかりなので、まずは信用を付ける時。

その場限りでの儲けではなく、
一生懸命、お客さんに喜んでもらうように、頑張ったら、
そのお客さんが、めぐりめぐって、仕事が増え、収入も増える。

これは日本人の美徳で、外国では通じません。
日本人は、仕事が生きがいで喜び。
ありがたく、今日も働かせていただいているのに対し、
欧米の考えでは、聖書にも書いているように、仕事は罰。

やはりカンボジアでも、仕事は生きがいとする考えはなく、
仕事が生きがいで喜びではなく、生きる為の手段。

日本の考えを、押し付ける事はしたくありません。
しかし、お取り扱う全てが日本人。

ガイドがもらう賃金は、一日いくらと決まっているので、
それ以上、稼ぐには、現地でオプションを売り、土産屋に連れて行くしかありません。
会社を通さず、勝手にドバイバーと行くので、
行程が狂い、お客さんは、決めてきたコースではないと、
日本に帰ってからクレーム。旅行業法の旅程補償(ペナルティ)の対象。

カンボジアスタッフは、日本の会社、営業がどれだけ頑張って、
仕事をとってきているのかわかるはずもありません。
また世界はカンボジアだけではありません。

日本人はお金持ちだから、簡単に旅行を行ける。
そんなことはありません。
あなたたちより何倍も働いて、倹約もして、
カンボジアに行くことが、どれだけ楽しみにしているか。

観光客は、ガイドでその国の印象が決まります。
ガイドは、毎日同じことの繰り返しで、どうしても慣れてきます。
お客さんの殆どが、初カンボジア。
慣れてはいけません。
この仕事で大事なのが、一期一会。

私の月給も$1,000-。
カンボジアに居れば、高給取りの部類ですが、日本では、初任給以下。
何とかしなけれなりません。

頑張ったら、頑張った分、仕事が増え、収入も増える。
日本の美徳は、言い聞かせるのではなく、私が実践してみせるしかありません。

新たな挑戦


第一にお客さんに喜んでいただく。
その為には、目先のお金を求めない。
これは長期になりますが、この仕事を生業とするなら、必至です。

遺跡の案内で、歴史物語は3分以内。
40℃にもなる所で、長々と歴史の話を聞くのは遺跡マニア以外は苦痛。

日本人が知りたいのは、何を食べているのか。
どんな所に暮らし、どういう生活をして、何が贅沢なのか。
あなたの夢はなにか。生活、考え方、日本をどう見ているか。
ネタが尽きることはありません。

長期の目標だけでは、ついてこないので、
オプショナルツアーを会社が完全管理。
会社に利益を入れ、ガイドも今まで以上の利益がないと動きません。
尚且つ、お客様に喜んでいただく。

オプショナルツアーをいろいろ考え実行しました。

●土産屋と契約し、コミッションの完全管理。

●シクロで遺跡観光
シクロ:輪タク(自転車タクシーのベトナム語)で、それがカンボジアにも普及。
遺跡を風を切って、歩く目線で遺跡を周る。
どんなに素晴らしいだろう。

シェムリアップにはシクロの文化がなく、カンボジアの首都のプノンペンにしか居ません。
三浦社長に相談し「OK!!」と、いっていただきました。
3日後には、プノンペンからシクロマンが10人、
自身のシクロで3日かけてシェムリアップにきました。
給料は、半日を月給$15-+1回1$。
寝泊りは会社の敷地で自身のシクロ。

みんないい人ばかりで、三浦社長は、よく短時間に良い人ばかり10人も選び、
すぐにシェムリアップへ来たのには驚きました。

その間に観光省に遺跡にシクロ乗り入れ許可を申請。
同時に当社での独占許可も通りました。
日本へ新企画「アンコール遺跡をシクロでめぐる」を発信。
現地オプションでも販売。

●シクロナイトツアー
夜、その頃、どこにも行くところがないので、シクロナイトツアーを開始。
シンガポールのトライショー(輪タク)ツアーをパクりました。
シンガポールでは、インド人街、オカマ人街などを通り、
最後にニュートンサーカスでのかき氷。

それに対してシェムリアップでは、
電気がない、真っ暗闇の街を楽しみ、最後にシェムリアプ川沿いの
ラッキーカフェで、フルーツシェイク。

●足つぼマッサージ店オープン
当時、シェムリアップに1軒もなかった足つぼマッサージ。
今では、シェムリアップで数多くありますが、これが1号店です。

三浦社長に、会社の1階を足つぼマッサージにしたい。(会社は新社屋に引っ越し)
と、相談しましたら「OK!!」
プノンペンにマッサージ師いないでしょうかと、聞いたら、
3日後に中国人のマッサージ師がシェムリアップにやってきました。

プノンペンの台湾系マフィア経営の「ベンツサウナ」から、中国人を引き抜き。
その方を指導者として、マッサージ師を募集。
いつもながら、三浦社長の行動力には、本当に凄いの一言。

マッサージ師は、完全歩合制で、1回/$1-。
多数募集があり、8人を確保。
その日から1週間、中国人先生の特訓が始まりました。

中国では、足つぼマッサージは医療で、国家資格が必要。
その為の医療学校を卒業し、資格を持ってないとできません。
私も足つぼは好きでよく行きます。
棒で押したりする所も多いですが、先生は、許しません。
全て指押し。

先生が施術したら、おしっこが我慢できなくなります。
体の毒素が尿ででているとのこと。

施術中、ここが痛いのは、どこが悪い等の身振り手振りも説明も取得。
1週間の特訓で、指の皮が擦り剥けても、みんな頑張りました。

私は、バンコクへ買い出し。
店で音楽を流し、良い雰囲気にしようと、
CDプレイヤー。BGMのCD。足つぼステッカーを購入。
椅子は、籐の椅子をシェムリアップで購入。

いよいよオープン。
一番目に三浦社長に受けてもらいました。
施術する前に、ズボンを膝上までめくったら、両足のスネ、ふくらはぎに、無数の傷跡。
直径1cmの穴が40個ほどありかなり深い傷跡。
聞くと、ポルポト時代に、無我夢中で逃げた際、ジャングルで、
パチンコ地雷を踏みました。
踏んだら、パチンコ玉のような物が、無数に飛び散る爆弾。
命からがら、カンボジアを脱出し日本へたどり着きました。
その後、日本国籍を取得。

カンボジアのポルポト時代を知っている世代は、
みんながみんな、そういう経験があります。

平和な日本で生まれ暮らしていたら、平和があたりまえ。
今の日本は、歴史上経験したことがない平和で、豊かな国。
この平和で豊かなのは、日本も先人たちが命がけで勝ち取ったもの。

人に対しての礼節、思いやり、世の為、人の為。
世間様にご迷惑をかけないよう。

こんな素晴らしい国は、世界どこにもありません。

足つぼマッサージは、ガイドがお客さんに販売すれば、一人当たり/$5-のコミッション。
ガイドにとっては、良いビジネス。

空港に張り付いて、私がお客さんにご挨拶。
滞在時の注意事項と、オプショナルツアーのご案内。
足つぼマッサージは、なかなか反響がよく、そこそこ売れました。

ただ、シクロツアーは、想像より大変でした。

アンコール遺跡は、アンコールワットだけでなく、
その周辺には200以上の遺跡があります。

アンコールトムという遺跡の中心にバイヨン遺跡があります。
その周りに遺跡が点在し、小回りルート、大回りルートがあり、
シクロは、その小回りルートを周ります。

通常車では、2時間で周れますが、シクロの場合、4時間かかります。
それもシクロを遺跡に待機させ、バスで行き乗り換えます。
道が舗装されてないところも多く、事故の心配もあり、
ガイドだけでは心細い。

また、シクロナイトツアーは、シンガポールと違い、市内の道はデコボコ。
雨季には、水たまり、ぬかるみ。
何より、電灯が殆どないので、殆どが真っ暗闇。
安全に運行する為、バイクでの先導が必要です。

先導の見本を見せる為、私が同行しました。
シクロツアーは、夕食レストランからホテルまで約2時間。
さらに、足つぼマッサージをプラスすれば、
終わるのが0:00を過ぎることもあります。

ガイドは翌朝、アンコールワット・サンライズが、殆ど入っているので4:00起き。

私が、毎晩やるはめになりました。
朝から夜遅い時は、深夜1:00まで。
もし、コミッションが私に入ってきたら、喜んで何時まででもやりますが、
ガイドに入り、私には一切入ってきません。

道筋を作って見せる。お金は後からついてくる。
これを信じて、毎晩深夜まで休みなく働き続けました。

●夜の社交場・大人のカラオケ店
これは会社は一切ノータッチ。

これが大騒動の始りでした。

シェムリアプ
2014年 市内中心のオールドマーケット公衆便所の看板。